ノーベル文学賞 2012 10 13
2012年10月12日22時02分の朝日新聞デジタル版には、このような記事があります。
ノーベル文学賞の莫言氏「劉暁波氏に自由を」
【北京】ノーベル文学賞受賞が決まった中国の作家、
莫言(モーイエン)氏が12日、
地元の山東省高密で記者会見を開き、
2010年にノーベル平和賞を受賞した獄中の民主活動家、
劉暁波(リウシアオポー)氏について
「一刻も早く自由を回復することを望む」と話した。
ロイター通信などが伝えた。
中国メディアは、莫言氏のこうした発言を報道しておらず、
中国のネット上に流れる記者会見の動画も、この部分が削除されている。
莫言氏は、これまで「体制内作家」との批判も受けていたが、
12日の会見で内外記者に対し、
「私の作品を読めば、どれだけリスクを取って、
圧力の下で書いているか、わかるはず」と反論。
「共産党が指導する中国で作品を書いているが、
政党に作品の自由を奪われることはない」と語った。
また、中国のニュースサイトが伝える12日の記者会見の動画によると、
莫言氏は、尖閣諸島を巡る日中の対立について、
「争いは客観的に見て存在している。
一番いいのは、『争いは棚上げする』という措置だ。
朝鮮半島の軍事境界線のように、無人区にすれば、魚たちの天国になる。
争いのあるところには行かないことだ」と話した。
(以上、引用)
さて、今日は、私の愛読書である「中国名言便覧」(三省堂)から引用します。
「民の口を防ぐは、川を防ぐよりも甚だし」『国語』(周語)
これは、「言論を抑圧するのは、川を塞ぐより危険である」という意味です。
人の口を堰き止めることは、ダムを造るより危険なことのたとえです。
この格言の歴史的背景は、以下のとおりです。
周の国王が、悪口を言う民衆を弾圧して、
人の口を塞いでしまったが、
それに対し、大臣が国王を諫めた言葉です。
要するに、民衆を治めるのは、
自由に発言させた方がよく、
言論の弾圧は、国にとって危険であるということです。
「周の国王」というと、かなり昔です。
いずれにせよ、大昔の中国では、
政治家たちが、よく治世の方法を知っていました。
当時としては、欧米よりも、中国の方が進化していました。
政治は、科学技術と違って、退化することもあるのでしょうか。
中国の古典文学を愛する私にとって、
今の中国を見れば、皮肉も言いたくなります。